・・・
『は……? 』
父に呼ばれて叱責されると思いきや、そんなことを言われるなんて。
褒められているのかもよく分からないし、言葉自体解せなかった。
不届き者とはいえ、その時の感情で対処した自分が王に適しているとは思えない。
『あいつには、それができない』
ふざけるな。
そんなことで、小さな弟を僻地に飛ばす必要はない。それに――。
(私だって……)
好きでこんなことをしているのではない。
優しく、甘く。
誰に対しても接することができたなら。
王にならずとも済んだだろうか。
王にならないでいられたら、もっと優しくなれただろうか。
・・・
「……羨ましいのだろうな」
この城から、あの籠から脱け出したロイが。
甘い理想を、現実にしてしまえる強さが。
「だが、私が手にしたものもある」
我が儘だった。
エミリアを手離さないと決めたのは、我が儘以外の何でもない。
「それに恐らく……ロイが手にできなかったものも」
欲しくないものを与えられる辛さ。
最初から貰えずに、手を伸ばす意味すらなかった悔しさ。
まるで反対だったけれど、知ってしまえば同じ痛みを抱えていたことが分かる。
「これはそれを忘れない為だ。お互い、どちらが王になっても目指すものは一緒だと」
あの日の誓いを忘れない為に。



