君色を探して



『聞いた? アルバート様のこと』

『ええ。療養なんて言ってるけど、あれでは里親に預けられたようなものだわ』

『それを言うなら、元々そうじゃない? ここにいても、デレク殿が親代わりだもの』


(……療養? 里親? )


意味不明な言葉が噂話に乗り、どんどん飛んでくる。


『まあ、お体が丈夫でないのは本当みたいよ』

『憎たらしいことを除けば、天使か姫君みたいに可愛らしいし。ここにいらっしゃるのも酷かしら』


――確かに、王様には向かないかもね。


アルフレッドはその場を離れた。
そうでないと、相手がただの女官であることを忘れて殴りかかってしまいそうだったからだ。

また、こんな声も聞いた。


『アルバート様が城を離れたというのは本当か? 』

『そうらしい。まったく、これから役にたってもらおうと思っていたものを……まさか、王は何かを察しておいでなのでは』


(……間抜けめ)


誰が聞いているとも知れない城内で、それでも隠れて話し合っているつもりか。
そんな輩の存在に気づかぬほど、父も愚かではないはずだ。

けれど――。


(私も間抜けだ)


これほど単純な危険因子を、弟を連れ出されるまで放っておくとは。