「触れてみてよ」
小さな手を掴まえると、びっくりしたように見上げてくる。
「名残惜しいけど、僕はもう堪能したことにしてあげる。……今夜はね」
だから、もし君も同じ想いだったのなら。
「もう何も隠さないから、触れていてほしい。……そう思うのは、後にも先にも君だけ」
真っ赤になったジェイダがどこか空中の一点を見つめたまま、おずおずと手を伸ばした。
トクン。
手のひらが重ねられた胸の奥で、喜びの音が聞こえる。
トクトクと刻まれる音は、やがてロイの全身を巡り――満ち足りた幸福感をもたらすのだった。
「……ありがとう」
君に逢えて、君を好きになれて。
「本当にありがとう。ジェイダ」
僕を見て、知って。
愛してくれてありがとう――……。
お姫様の手の甲だけでは足りず、手のひらに唇を押し当てた。
先程触れて、その想いを伝えてくれた手は。
いくらゆっくり開かせても、やはりとても小さかった。
「私こそ。……あのね、ロイに再会できるまで、ずっと探してたよ」
ロイの色を、空を見る度に。
「似た青色があると嬉しくなるのに、でもやっぱり違うなって……すごくすごく……寂しかった」



