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「覚えてる? 君はこう言ったんだよ」
『隠されたら、ロイに触れられない』
『……ロイを教えて』
遠慮がちのようで、まるで射貫くかの如く正確に突かれてしまった。
殻に閉じ籠ったままの自分を。
「嬉しかった。王子様の仮面を剥がしてくれようとする君が嬉しくて……正直、腹立たしいほど憎らしくて」
――愛おしかった。
「喧嘩もしたし、そもそも君は僕にいい印象はなかっただろ? でも、僕はわりと初めから君が気になってたんだ」
「だって……浮気許容の婚約者なんて言われて、好感をもつ方がおかしいと思うけど」
それを言われると、笑うしかない。
「だよね。でもあの時は、苦肉の策だったんだよ。……君が僕に一目惚れしてくれたら、話は楽だったんだけど」
――騙されてくれないんだもん。
「生憎、優しいだけの王子様じゃいられなくなった。ジェイダのせいでね」
まったく、手こずってしまった。
とんでもなく幸せな、誤算だったのだ。



