「みんな待っててくれたの?先に帰ってもよかったのに」
林間学園実行委員会の集まりが終わって教室に戻ると、一葉たち三人がおしゃべりしていた。
「いいのいいの。美穂に用事があったから」
一葉たちが私の席に近寄ってくる。
教科書をランドセルに入れ帰り支度をしていると、突然両手の自由が失われた。
「えっ、何?」
三咲に両手をつかまれる。いつものパターンだ。
「ひゃんっ!きゃははっはっははああああ!!ははっはああああははっはっははははっはhっはっははあ!もう無理っ!無理だってばぁ」
40本の指が体じゅうを暴れまわる。
二花が膝の上に座っているため、足をばたつかせることすら許されない。
「膝もくすぐったいの?」
意地悪な視線を向けてくる二花。
膝の上に爪を立て、じわーっといたぶるように広げる。
「きゃははっはっははああああ!くしゅぐったいぃいいいい!やめてぇえええ!」
両手を動かそうとするが三咲にがっちりつかまれているため、自由に動かすことができない。
「泰典くんには何て言われたの?」
二花と一葉はくすぐりの手を止めるが、三咲には両手をつかまれたままだ。
二花が泰典君に好意を寄せていることは知っていた。だから私が告白されたことは黙っておいた。なのにどうしてそのことを知っているのだろう。
「好きだから付き合ってください、って言われたけど……」
「私が二花君のことを好きなのことって美穂も知ってるよね!」
少し怒ったような口調だった。
「なのになんで付き合うの?ありえないんだけど!」
急な展開にしどろもどろになってしまう。なんで勝手に泰典君の彼女にされているのだろうか?
「ちょっと待って。私は断ったよ?」
「私見てたんだから。泰典君とイチャイチャしているところ!」
誤解だよ。言おうとした瞬間、脇腹に刺激が走る。
「ひゃっ。きゃははっはっははああああ!無理ぃいいいいひひひひhははっはああああははっはっはは!くっくしゅぐったいぃいいいい!」
二花の十指が脇腹を蹂躙する。
一葉はというと、上履きを脱がせ、足の裏に爪を立てている。
「はっはははきゃはひゃあああああ!無理無理むりぃいいい!!きひひゃああああああああああああああ!!やめてぇえええええええ」
ずっと私の太ももに座っていた二花がすっと腰を浮かせる。
やっと解放される。安堵しかけたとき、ふいにスカートがまくり上げられた。
「えっ?」
「美穂ちゃんこんなパンツはいてるんだ」
やだ、恥ずかしい。いくら女の子同士とはいえ、パンツを見られるのには羞恥心を感じる。
「可愛い!」
一葉も遠慮なくスカートの中をのぞいてくる。
「私も見たい」
後ろで手を抑えている三咲が言うと、二花はおもいきりスカートをたくし上げた。全方向から薄ピンクの下着が丸見えになる。
「見ないでぇ!」
「顔真っ赤だよ。熱いの?」
二花が笑いかける。
指を太ももとパンツの境目に当て、ゆっくりと動かす。
「ひゃんっ!」
思わず声を漏らした。今まで感じていたくすぐったさとは少し異なる感覚に戸惑う。
「泰典くんとイチャイチャできて楽しかった?」
「きゃははははっはは!!やめぇやめてぇええええはっはっはははあはああああ!ははっはhっはhがgははははは」
誤解はまだまだ晴れそうにない。

