久須栗小5年2組のくすぐり物語

 ふぁあ~

 大きなあくびと共に目を覚ます美穂。
 たくし上げられたパジャマとずり下ろされたズボンを整えながら、昨夜の地獄を思い出す。
 三咲たちに『予行演習』という口実のもと全身をもて遊ばれた。敏感な部分を徹底的にくすぐられ、力尽きて眠りに落ちた。
 くすぐられるのは苦手で、昨夜の出来事を思い出すだけで身体がぶるぶる震える。
 しかし、本当に光希君にくすぐられることを妄想すると、胸の奥が熱くなる。

「おはよぉ」
 窓際から一葉の寝ぼけた声が聞こえてくる。

 窓越しの太陽に向かって大きな伸びをしている一葉のパジャマから、白い肌と紫色のパンツがちらりとはみ出ているのが目に入る。
 男の子が見たらドキドキしちゃうんだろうな。
 普段意識していなかった、見えない部分の可愛さ。急に気になって、洗面所の鏡をのぞき込む。
 男の子に可愛いって思われるかな。光希君に可愛いって思われるかな。言葉に出して言ってくれたら嬉しいな。
 鏡の奥から三咲が近づいてくる。
 ギュッ!
 後ろから抱き着き、耳元でささやく。
 「かわいいよ」
 美穂の顔が一気に赤く染まる。
 
 「なに朝からイチャイチャしてるのよ」
  二花も目を覚ましたようだ。
 「だって可愛かったんだもん」
 「もしかして、美穂のこと狙ってんじゃないの?」
 「からかわないでよ」
  美穂は照れを隠そうとする。
  百合じゃないのにこんなにドキドキするなんて……
  昨夜のくすぐりは激しかったけど、あれはあくまで女の子同士のじゃれ合いだし……
  美穂の中で新たな扉が開いた気がした。