久須栗小5年2組のくすぐり物語

 牧場を出発した後、うちわづくり体験とお土産屋巡りを経て夕食の時間になった。
宿の人が作ってくれた地元の料理をつつきながら美穂たちはガールズトークに花を咲かせていた。
「なんかこのレタス辛くない?」
「無農薬野菜だからだよ」
「何それ、体にいい代わりに味は我慢しろってこと」
 三咲は頬を膨らます。
「ところで、光希君への告白どうなった?」
 一葉の問いかけに、光希君の返事がまだなことを思い出した。
牧場での出来事を説明すると、返事貰ってないの?光希君は美穂のことどう思っているんだろう?
と好き勝手に盛り上がる。
「レクの後の自由時間で返事聞きに行きなよ」
二花に促され、今日中に光希君の返事を聞こうと決心した。


「美穂やったね!」
「おめでとう!」
「お似合いのカップルだね!」
 部屋のみんなから口々にお祝いの言葉を貰う。
 告白はあっさり成功した。牧場で一度気持ちを伝えていたから、光希君も心の準備ができていたのかもしれない。
 ロビーでここまでの話を一通りした後、改めてハンカチのお礼をした。返さなくてもいいよと言ってくれたけど、さすがに男の子のハンカチを使うわけにはいかないので、家で洗って返すことにした。
「光希君とはどんなデートしたいの?」
「ディズニーランド行きたい」
「それくらい付き合ってなくても行けるじゃん」
 二花の言うとおりだ。今どきの小学生は男友達と気軽に遊びに行っている。

 ヒャッ
 三咲がいきなり飛びついてきた。
「光希君となにしたいの?」
 耳元でささやかれてちょっとくすぐったい。
「なにって………」
「光希君とおウチでしたいことあるでしょっ!」
 後ろから体を密着させてくる。
 笑みを浮かべた一葉と二花を見て、逃げられないことを悟った。