「えっ!告白!俺に!」
目を丸くしている。
「そうだよ。私は光希君のことが好きなの!」
変なスイッチが入った。
「いつも明るく笑っているとことか、行事では一所懸命頑張っているとことか……」
「とにかく、光希君のことが好きです!付き合ってください!」
一気にまくしたてる。
顔にぬめっとした何かがとんできた。
「きゃあっ!なに?」
光希君の視線の方へ目を向けると、アルパカがこちらに敵意を向けている。
俺の近くでうるさくするな、とでも言いたげな表情だ。
「これで拭いて」
光希君がキャラクターの刺繡が入ったハンカチを取り出す。
「大丈夫。ハンカチなら持っているから」
白いハンカチを取り出し、顔をふく。
「くさっ!」
強烈なにおいが鼻をさした。
お母さんに買ってもらったお気に入りのハンカチなのでもったいないが、捨ててしまおう。
「大丈夫?大変な目にあったね」
顔を洗いにいこうと、手を引っ張って水道のところへ連れてってくれる。
「おっと、その様子だと告白成功かな」
三咲が冷やかしてくる。
「まだ分かんない。けど状況は最悪」
「どういうこと?何があったの?」
「アルパカにつばを吐かれた。ハンカチも汚れて捨てるしかない」
山の湧き水が引かれている水道で顔を洗う。
「さっきのハンカチ汚いでしょ。これ使って」
光希君がさりげなく自分のハンカチを取り出す。
借りていいのか迷ったが、つばまみれのハンカチは使いたくないので、光希君に甘えることにした。
「ひぇっ!」
驚きのあまり思わず頓狂な声を上げてしまった。
差し出されたハンカチを受け取ろうとした瞬間、光希君が優しく顔を拭いてくれたのだ。
顔を真っ赤にしてぼーっとしていると、いつの間にかクラスの集合場所にたどり着いていた。

