「ひゃっ、やめてぇええええ!!だめだめっ、だめだってばあああはははあああああああはああはああはあああああ!!」
 
 久須栗小学校5年2組の教室には、悲鳴交じりの笑い声がけたたましく響き渡る。

 くすぐられているのはクラスで1番の美女と言われている美穂《みほ》だ。
 目鼻立ちが整っていて145センチの高身長を誇る美穂はあこがれの的であり、今までに10人以上から告白されたという噂が流れている。
 
「美穂ちゃん暴れないでよぉ」
 三咲《みさき》は、美穂の脇をがっちりと抱えている。身長は美穂より10センチも小さいが、レスリングをやっているため、いくら暴れても脇固めからは抜けられない。
 一葉《かずは》はわき腹を、二花《にか》は膝をそれぞれ慣れた手つきでくすぐっている。
 一葉はピアノ、二花はバイオリンを幼稚園の頃から習っているため、指さばきは折り紙付きである。