久遠の果てで、あの約束を。

沈黙。なにも言えなくなって押し黙る。

宮野さんは、あのことを知っているのだろうか。私と渚の間にあったことだけじゃない。私が宮野さんの告白を盗み見たことも。


「……宮野さんは?」

「振られちゃった」

放心している私に「優希ちゃんだって見てたでしょう」と、苦笑いする彼女。やっぱり、バレてたのか。


「まぁこうなることはわかってたんだけど、まさかこんなにあっさり振られちゃうとは。現実って厳しいね」


「……」

驚いた。

いかにももう未練なんて残っていませんと言わんばかりの口調にも、躊躇うこともなく「振られちゃった」と口にしたことにも。


「中学の頃から、ずっと好きだったの」


ほっそりとした白い指が、乙女色のカップの縁を撫でる。


「最初はなんとも思ってなくて、顔はまあまあ格好いいけど、他は大したことないし。全然意識してなかったの。だけど、気がついたら目で追うようになってて、笑顔も、声も、適当に見えて優しいところも、一から百まで全部好きになってた。一緒にいることも多かったから、ほんのちょっとだけ期待してた」


でも、もういいのと、吹っ切れたように笑う。


「私じゃ駄目だったみたいだし。もう届かないんだって、はっきりわかったから。それに、樹も慰めてくれたしね」

最後のは冗談めかした口調だったけれど、篠原の下の名前を呼ぶ声には、信頼の情がありありと浮かんでいた。