久遠の果てで、あの約束を。

ふと、宮野さんの顔が思い起こされる。彼女は私が冷たくする度に、悲しそうな顔をしていた。

今思えばあのときの宮野さんの表情は、傷ついたときの渚の顔とよく似ていた。


そういえば、クラスの女子に呼び出されたとき、私は傷つけられた側だった。けれど、やっていることはあの人達と同じなのかもしれない。クラスメートだけではなく、私を捨てた母親とも。


そっと、制服の下のネックレスに触れてみる。あの日渚に貰ってから、肌身離さず身につけている、大切な想い出の品。


「だけとさ」篠原の声がまた響く。さっきよりも明るい声。それとは対照的な窓の外で、宵の明星が瞬いた。


「それだけじゃなかった。恵理も神崎もお前といるときは見たことがないくらい楽しそうな顔してて、相手にあんな顔をさせる奴が悪い奴な訳がないって、そのとき俺は確信したよ」



知らなかった。


篠原がそんな風に思っていたことも。宮野さんと渚が私といるとき、そんな顔をしていたことも。

思えば、宮野さんと篠原が幼馴染だということも、私はなにも知らなかった。



私は今まで、二人のなにを見ていたんだろう。