久遠の果てで、あの約束を。

放課後、一人で教室に残って作業していたら、扉が開く音がした。


渚かもしれないと期待したものの、入ってきたのは彼ではなく篠原だった。


「お前、まだ残ってたの?」

「ちょっとね」


忘れものをしたらしい篠原は、鞄の中に生物の教科書を押し込むと、私の隣に座り込んだ。私は黙って手を動かす。ぶっ通しで続けていたからか、少し目が痛くなってきた。



「俺、お前のこと誤解してたわ」


手が止まる。

発言の真意が読み取れない。壁に寄りかかった状態で、次の言葉を待つ。


「なに言っても無愛想だし、恵理に対しても凄え冷たいし。あいつはお前と仲良くなりたくて必死なのにそりゃねぇだろ。顔と頭はいいけどさ、こいつ性格最悪じゃん。ただの嫌な奴じゃねえか。なんで恵理はこんなのと友達になりたがってるんだろうって、ずっとそう思ってた」


素っ気ない声が実体化して、私を滅多打ちにしている映像が頭の中を過ぎる。ぐさぐさと刺されたナイフで耳と心が痛いけれど、事実なので否定はできない。