「高嶺さんって、手先器用だね」


クラスメートにそう言われる度に、嬉しさによく似た懐かしい満足感が心にぽっかり空いた穴に注がれて、昔の自分が蘇りそうになってしまった。



母と再開することを選んだら、完全に逆戻りしてしまうのか。


繰り返される浅い眠りの中、何度も同じ夢を見た。


真っ黒な闇の中に一筋の光が差し込んで、その方向に向かって必死に手を伸ばしてもがくけれど、届きそうで届かない。

やっと掴んだと思ったら、指の隙間から真っ白な光が広がって、闇に隠されていたものが露わになる。


渚と楽しそうに話している、私以外の女の子。


それは宮野さんだったり、以前私を呼び出した女の子だったり。今日は中学の頃の同級生だった。

毎回、目が覚めた頃には涙で頬が濡れている。


明けない夜はない、なんて誰が言ったのだろう。

この世には、朝陽どころか月明かりさえ灯らない夜だってあるというのに。


目覚めたばかりの深夜、自分の部屋で何度同じことを考えたか。