「しつこい男は嫌われるって、そんなことも知らないの? 顔色が悪い? 目の下にクマがある? だからなに? 男子にはわからないかなぁ。人にはね、そっとしておいて欲しいときがあるの。こっちはただでさえしんどいのに、そうやって変に干渉されるの、本当迷惑」


吐き捨ててから、案の定激しく後悔した。


渚がどんな顔をしているのかが気になる。

だけど同時に、見たくないとも思ってしまう。

嘲笑した。


愛しい人を傷つけているのは他でもない私なのに、傷ついた顔を見たくないなんて。あまりにも身勝手で傲慢。こんな女に、渚の隣はふさわしくない。


よろよろと、一歩二歩と後ずさる。1メートルくらい離れたところで、怯えるように口が開く。



「違っ……。そんなつもりじゃなくて。ただ、俺は優希を心配して……」


「だから、それが迷惑だって言ってんの。もう私に構わないでくれる? こんなこと、話してる時間がもったいない。」



尖ったつぶてのようでいて、なんの意味も成さない言葉がつらつらと流れ出る。


情けのないことに私は、心の中で言い訳ばかりを並べていた。