渚だってそうだ。


格好よくて優しくて、どうして私なんかと一緒にいるのか疑問に思うくらい魅力的で、彼に釣り合う女の子は他にいくらでもいる。



この2人は、何処からどう見てもお似合いだ。



柔らかな頬を薄紅色に染めた彼女は、女の目から見ても守ってあげたくなるくらいいじらしくて、恋する乙女という言葉が自然と思い浮かんだ。


こんな子に告白されたら少なくとも悪い気はしないだろうし、もしかしたらOKしてしまうかもしれない。


それだけでも心臓が軋むみたいに苦しいのに、渚の返事は更に胸を抉るようなものだった。




「ごめん、気持ちは嬉しいけどーー。でも俺、他に好きな人がいるから」




宮野さんの潤んだ目を真っ直ぐに見て、迷いのない口調ではっきりと告げた。



再び、頭を強く殴られる。



それと同時に、心臓をぎゅっと掴まれたみたいに胸が苦しくなった。



おそらくそれは、宮野さんも同じだろう。


だって、ずっと恋い焦がれていた相手が他の誰かを想っていて、自分と同じ気持ちになっていると知ってしまったら、悔しくて妬ましくて羨ましくて、その誰かを恨んでしまいそうになるから。



現に私は、そうなりかけている。