その翌日、帰りのホームルームが終わりそのまま家に帰ろうとすると、裏庭の方から声が聞こえた。



別に放っておけばよかったのだけど、好奇心に負けてつい覗き見してしまった。


が、それがいけなかった。




「ずっと前から好きでしたーーっ」



恥じらいと勇気を詰め込んだ声が、精一杯といった風に木霊する。



一応言っておくけれど、告白されたのは私ではない。



だけど告白をしたのは見慣れたボブヘアの女子で、告白をされたのはこれまた見慣れた長身の男子。



宮野さんと渚。



宮野さんが、渚に告白している。



たったそれだけの事実を理解するだけでいいのに、頭が情報処理を拒む。



だって宮野さんは、そんなこと一度も言わなかった。


どうにかして目の前の状況を飲み込むと、今度は頭を鈍器かなにかで殴られたような重い衝撃が走った。



宮野さんは可愛い。それはもうもの凄く。


見た目の愛らしさは勿論のこと、中身だって素直で思いやりがあって家庭的で、しかも渚と同じクラスの人気者で、こんな私にも笑顔で明るく接してくれている。


こんな無愛想で捻くれ者な上に中途半端に弱虫な自分とは、似ても似つかないような素敵な女の子。