ずっと不安だった。

実は迷惑がられていたらどうしようと思っていた。


だって本当は、私が二人で行きたかったからっ。


恩返しがしたかった。

一緒に想い出を作りたかった。

ちょっとでも一緒にいたかった。



「お願い、答えてっ……」

そんな私のエゴを、貴方は受け入れてくれますか?


片手だけじゃなくて両手で彼の手を握って、臆病になった目を瞑った。


このお祭りが終わったら、またいつもと同じ夜が来る。

その前に、夜が崩れていく前に、どうしても答えを教えて欲しい。


湿っぽい熱気と生ぬるい風が滲んでいって広がって、なにも喋れないまま自分の心音を聞いていると、上から暖かいものが重なった。



「当たり前じゃん。優希と一緒にいるときが、俺は一番楽しいよ」



固く閉ざしていた目を恐る恐る開けて目の前のひとを見上げると、今まで見たこともないくらいに優しい瞳が、そっと私を見据えていた。