「……そういうの、興味ないって言ってた癖に」



だけど私の口からこぼれるのは意地の悪い悪態だけで、可愛らしい返し方なんて判らなかった。


「だからごめんって。そのときはその……、照れてたし。女の子の褒め方だって詳しくないし。それに……、それに、いつもより君はずっと色っぽくて綺麗で、びっくりして声も出なかった」


照れ笑いを浮かべる渚は普段とは全くの別人みたいで、それなのにちゃんと目を見て話されるから、さっきよりもこそばゆい。いや、それよりも、



「その、君っていうのやめて……」


消え入りそうな声で、精一杯の勇気を振り絞って続ける。


「わかんない、わかんないけど……。渚にその呼び方されると、なんかドキドキしてっ……、怖い」



熱くて溶けてしまいそうで、それをどうにか誤魔化したくて、全然関係もないことを口にした。




「渚。今日、楽しかった……?」