久遠の果てで、あの約束を。

そうやって人混みの流れに抗って歩いていると、気がついたらあれほど沢山いた人は一人もいなくなっていて。




「ねぇ、これ何処に向かってんの?」



何故か階段を登っていた。


所謂二人きりという奴だ。いやなんで?

渚は容赦ない男子の力で、ぐいぐいと手を引っ張っている。


「ちょっと待ってってば! 本当に何処行くの!?」


転ばないように注意を払いつつ尋ねても、返事ひとつしてくれない。

手を振り払おうにも階段の上だから危ないし、力が強過ぎてびくともしない。



抗議の声を上げつつ石畳の階段を登り、そろそろ足も疲れてきたなという頃に、ようやく長い階段は終わりを告げた。



「はい、着いた。ここで花火見よう?」



着いた先は大きな柳の木が生えている高台で、当然周囲には誰もいない。あるのはベンチがひとつだけ。


「いや、それはいいんだけどさ……。手、そろそろ離してくれない?」

「嫌だ」




……え?