久遠の果てで、あの約束を。

「それはいいけどさ、射的は行かなくていいの?」



宮野さん達はとっくにいなくなっているし、もたもたしていると景品もなくなってひまうかもしれない。


それなのに渚は満足そうな表情を困ったような顔に変えて、「あーそれね」と切り出した。


「元々そんなに行きたかった訳でもないし、なんかお腹空いちゃったから。優希も食べるでしょ?」

「食べる、けど」


なんか誤魔化されたような気がする。



そういえば、さっき林檎飴のお姉さんのことを訊いたときも、こんな風にはぐらされた。


言いたくないことは無理に言わなくてもいい。それが私のスタンスだ。


だって、その程度で人の関係は簡単に変わったりしないから。



それなのに、隣を歩いているはずなのに、どうしてこんなにも遠く感じてしまうのだろう。


浴衣を着ているせいか、じっとりとした暑さが肌に纏わりつく。



さっきまで林檎飴を持っていた手を胸に当てると、鼓動はいつもより速く感じた。