久遠の果てで、あの約束を。

「渚は、林檎飴買わなくてよかったの?」


「あんまり好きじゃないから、別にいいかなって」



会話終了。

また一口、林檎飴を齧る。こんなに美味しいのにあんまり好きじゃないなんて、絶対人生損してるよ。まぁ、私も今まで損してたけど。


でもやっぱり、渚と一緒に食べたかったな。

渚と二人で夏祭りに来れるのは、これが最初で最後なんだから。


じわりと涙が滲みそうになって、それを渚のせいにしたくて、わざとさっきのことを話題に選んだ。



「ねぇ。さっきのお姉さん、渚になんて言ったの? なんか気になるんだけど」


冗談っぽく言ったつもりだけど、結構本気で気になっている。

あの渚が赤面したということは多分、相当恥ずかしいことを言われたはずだ。



どきまぎしながら回答を待ったけれど、欲しかった答えは得られなかった。


「……さぁ、なんだろうね? 内緒。あ、みてほら優希、射的あるよ。行こう?」


「え、ちょっと待って! 速いって!」



慌ててあとを追いかけようとしたけれど、急に渚がぴたりと足を止めたので、その必要はなくなった。