「ありがとうございます」
「どういたしまして。あ、そうだ。ちょっと彼氏さん耳貸して?」
「え? はい」
渚の耳元に顔を寄せ、楽しそうになにかを囁いたお姉さん。どういう訳か渚の顔が、手に持っている林檎飴の如く赤くなる。
…渚のそんな顔、初めて見た。
「いや、そ、そんなんじゃないですって!」
「えー、本当かなぁ?」
「本当です!」
真っ赤な顔でなにか言い訳する渚と楽しそうにからかっているお姉さんを見ていると、またもや胸がちくっとした。
それを紛らわしたくて、つやつやした宝石みたいな林檎飴を一口齧る。
途端に、飴の甘味と林檎の酸味が口いっぱいに広がった。
想像していた以上に美味しいけれど、ちくりと針で刺されたような痛みは消えない。
「それじゃあ、頑張ってね〜!」
一体なにを頑張るのやら。
「また来てね!」と手を振ってくれるお姉さんに小さく手を振り返している私をよそに渚は「本当にそんなんじゃないのに……」などと低い声でぶつぶつ言っていた。
ざわめきの中を二人で歩くのは少し気まずくて、なにか話題を探さなきゃと焦る。
「どういたしまして。あ、そうだ。ちょっと彼氏さん耳貸して?」
「え? はい」
渚の耳元に顔を寄せ、楽しそうになにかを囁いたお姉さん。どういう訳か渚の顔が、手に持っている林檎飴の如く赤くなる。
…渚のそんな顔、初めて見た。
「いや、そ、そんなんじゃないですって!」
「えー、本当かなぁ?」
「本当です!」
真っ赤な顔でなにか言い訳する渚と楽しそうにからかっているお姉さんを見ていると、またもや胸がちくっとした。
それを紛らわしたくて、つやつやした宝石みたいな林檎飴を一口齧る。
途端に、飴の甘味と林檎の酸味が口いっぱいに広がった。
想像していた以上に美味しいけれど、ちくりと針で刺されたような痛みは消えない。
「それじゃあ、頑張ってね〜!」
一体なにを頑張るのやら。
「また来てね!」と手を振ってくれるお姉さんに小さく手を振り返している私をよそに渚は「本当にそんなんじゃないのに……」などと低い声でぶつぶつ言っていた。
ざわめきの中を二人で歩くのは少し気まずくて、なにか話題を探さなきゃと焦る。

