久遠の果てで、あの約束を。

そして、夏祭り当日。



待ち合わせ時刻の、十五分前。




「誰……?」


編み込んで一纏めにされた黒髪に光る、スワロフスキーのびらびらつき簪。

控えめなラメが入ったマット系のアイシャドウに紅いグロスという、前よりも扇情的で艶っぽいメイク。


鏡に映っているのは、全くの別人だった。


「どう? 結構頑張ったの」


自慢気な宮野さんは淡い翡翠色にピンク色の百合柄の浴衣を着ていて、メイクとヘアアレンジの効果もあってかいつもより一層、女の子らしく清楚に見えた。


「前から思ってたけど、宮野さんって手先器用だよね」


調理実習のときとか、大活躍してたからなぁ。


「えへへ、ありがとう。そういえば優希ちゃん、夏祭りは誰と行くの?」




「あー。渚と、かな」



一瞬適当に誤魔化そうかと迷ったけれど、素直に答えることにした。


宮野さんだったら変に言いふらしたりはしないだろうし、その辺りは信用している。



「……そっか。それじゃあ、私友達と待ち合わせしてるから。じゃあ、ね」


「うん、色々とありがとね」



妙に歯切れの悪い口調と憂いを帯びた瞳に疑問を持ちはしたけれど、すぐに人懐っこい笑顔に戻ったので、特に追及はしなかった。