病院の外に出ると眩しい陽射しが容赦なく降り注いできて、急いで麦わら帽子を被る。透明な汗が、肌を伝ってアスファルトにぽたりと落ちた。


誰が病気だろうと真夏の空は今日も綺麗で、だけどあのときの澄んだ淡い水色とは違う、抜けるような濃い群青色に重く豪勢な入道雲の対比が美しい大空で、ネモフィラの代わりに小道の脇に広がるのは、皮肉にもお日様の恵を受けて天真爛漫に輝いている黄色い向日葵。

それに比例するように、蝉が短い命を燃やすように鳴いている。



本当に、何もかもが違いすぎる。


もしも時間を巻き戻す術かわあるのなら、この事実を無かったことにしてしまいたい。


そう思わずには、いられなかった。