久遠の果てで、あの約束を。

クレープ屋台はショッピングモールの噴水広場の近くにあったので、吹き上げる水のオブジェを横目に見ながら、木陰のベンチに二人で座る。



「あ、美味しい」


有名店というだけあって、クレープは今まで食べてきたのとは比べものにならないくらい美味しかった。


「優希のやつ美味しそう。一口頂戴」

「えっ」


なにか言う暇もなく、手に持っていたクレープを一口齧られた。

ぶわっと、効果音がつきそうな勢いで顔に熱が集まる。


「こっちも美味しい。あ、俺のも食べる?」

「……いや、大丈夫」


これ、関節キスとかいうやつだよね。


こういうとき、一体どんな反応を取るべきなのか。

迷っているうちに上に乗ったアイスが溶けたらもったいないので、とりあえず気にしていない風を装いつつ残りを齧る。

マンゴーやパイナップルがトッピングされたクレープは、さっきよりも甘酸っぱい味がした。




次に見たのは、とある文房具店だった。



「ねぇ。こっちとこっち、どっちの方がいいと思う?」

「うーん、こっち」


水彩風の、カラフルなパステルカラーで描かれたガーランド柄の便箋と、赤白青のトリコロールの縁取りが施された便箋。


少し考えてから指差したのは、ガーランド柄の方。


「で、それで誰宛の手紙を書くの?」


見たところ、両方共どちらかというと女の子が好みそうなデザインだ。それに男友達ではなく女の私に意見を求めたので、男子宛の可能性は低い。


「内緒」


そう言って、渚は会計をするためにレジの列に並んだ。

別に言いたくないなら無理に言う必要はないけれど、何故だか胸がチクッとした。