久遠の果てで、あの約束を。

期末テストが終わり、消化試合のようなだらけた日々を過ごしているうちに、世の学生は夏休みを迎える。


「あーもう! 全然終わらないんだけどこれ」


向かいの席で数学の問題集を解いていた渚が、頭を抱えて小さめの声で唸る。

三日前は大声で叫んで周囲の視線を浴びまくっていたので、かなり成長した方だ。


強めの冷房が効いている、学校近くの公立図書館。

その庭では、朝顔が絹のようになめらかな花弁を広げている。

あざやかな青や高貴な紫、涼しげな空色に可憐なピンク。官能的な白いものまで咲いている。

凛と美しく咲く朝顔達を見ていると、目の前の英語の長文読解なんてどうでもいいと感じてしまう。


簡潔に言うと、夏休みの宿題が面倒くさい。


「せっかくの夏休みなのに、こうも宿題が多いと楽しめるものも楽しめない。誰だよこんなに宿題増やした奴」


声を低く落としてぶつぶつと文句を言いながらも、数式を解く手を止めようとはしない。


「別に夏休みはまだ沢山あるんだし、そこまで頑張らなくてもいいんじゃない?」


もう既に、宿題の半分以上は片付いている。それなのに渚がここまで必死になっている。その理由は、