「優希、なんて書いた?」


横から覗き込んでくる渚。


「期末テストでいい点が取れますようにって書いた」

「うっわ真面目」

「うるさいなぁ。これしか思いつかなかったの。そういう渚はなんて書いたの?」

「なんだと思う?」

「……いやわからないから訊いてるですけど」

「そっか、じゃあ教えなーい」

「えっ、なんで? 私は教えたのに!」


けちー。なんて言う私の声をスルーして、渚は青い短冊を結ぶ。私に見られないようにするためか、かなり高めの位置に。


私も適当なところに結んで、再び暑い道を歩き出した。


「じゃあ行こっか」

「うん。今日天の川見えるかなー」

「今日は夜から雨だって」

「ごめん。もしかして渚って雨男だったりする?」



ここ最近一日のきらきらが増して、以前より口数や笑顔が増えてきた。


毎日が楽しくて仕方がなくて、だから気づけなかったのだ。




彼の短冊に『一日でも長く生きられますように』と書かれていることに。