「そういえば、どうしてあそこがわかったの?」



言ってから自分で、あれ? と疑問に思った。


どうしてそんなことを訊いたんだろう。たまたま見かけて後をつけたとか、考えればわかりそうなことなのに。


私の一歩先を歩いていた渚が振り返る。

少し笑って、彼は言った。



「約束したでしょ? 僕が絶対、君を見つけるって」



ぽろりと、目から温かいものがこぼれる。

一粒きりの雨が、頬を伝ってアスファルトに落ちていく。

夢みたいだった。


「え、なんでっ? やっぱり何処か怪我したの?」


「ううん……。なんでもない。なんでもないの」



そっか。そうだったんだね。


ワタワタと焦る渚に笑いかけて、眩しいくらい明るい道を並んで歩く。


きらきらした雨粒が、誰かの嬉し涙みたいだった。