「優希にはかなわないや」
くすくすと小さく笑い合い、やがて、繋いでいた指がするりと解けた。
「嫌だったら抵抗していいからね」
離れていく体温に名残惜しさを感じるよりも先に、両頬をそっと包まれた。
整った顔が近づいて、水色と白とひとひらのピンクが、ぼんやりと視界の端に映った。
周囲の音もなにもかもが、一瞬にして姿を消す。
刹那、唇に柔らかい感触。
ふたつの体温が重なり合い、とろけそうな感覚に身を委ねる。
ぎこちなくて、優しくて。
恥ずかしいのに嬉しくて、不安すらも愛おしくて。
ほんの少し怖いけれど、それ以上に幸せでーー。
長いようで短かかったファーストキスが終わり、今更のように顔に熱が集まって「流れ星、楽しみだね」とそっぽを向いて呟く。
自分からしてきた癖に、渚が照れくさそうに「そうだね」というので、なんだか調子が狂ってしまった。
もうなにも考えられなくて、というか考えたくなくて、海を見つめて明日の約束に逃避した。
その約束が果たされる前に、渚は死んだ。
くすくすと小さく笑い合い、やがて、繋いでいた指がするりと解けた。
「嫌だったら抵抗していいからね」
離れていく体温に名残惜しさを感じるよりも先に、両頬をそっと包まれた。
整った顔が近づいて、水色と白とひとひらのピンクが、ぼんやりと視界の端に映った。
周囲の音もなにもかもが、一瞬にして姿を消す。
刹那、唇に柔らかい感触。
ふたつの体温が重なり合い、とろけそうな感覚に身を委ねる。
ぎこちなくて、優しくて。
恥ずかしいのに嬉しくて、不安すらも愛おしくて。
ほんの少し怖いけれど、それ以上に幸せでーー。
長いようで短かかったファーストキスが終わり、今更のように顔に熱が集まって「流れ星、楽しみだね」とそっぽを向いて呟く。
自分からしてきた癖に、渚が照れくさそうに「そうだね」というので、なんだか調子が狂ってしまった。
もうなにも考えられなくて、というか考えたくなくて、海を見つめて明日の約束に逃避した。
その約束が果たされる前に、渚は死んだ。

