久遠の果てで、あの約束を。

お祖母ちゃんお手製のおせちでお腹を満たして、二人で初詣に行った。

荘厳な朱色の鳥居を抜け、願いごとはなににしようかと思考を巡らせ、渚のことにしようと決めた。

七夕の時もそうだったけれど、私はこの手の話をあまり信じてはいない。

でも、今なら信じてみてもいい。

お賽銭箱に五円玉を投げ入れ、ぱんぱんと手を叩いて目を閉じる。


ーーどうか、今年も渚と一緒にいられますように。


熱心に手を合わせる私になにを思ったのか、甘酒を持ってきたお母さんがとんでもないことを尋ねてきた。


「ねぇ優希、もしかして彼氏でもできた?」

あまりにも突然言われたので、せっかくの甘酒が気管に入ってしまった。ごほごほとむせる私を見て「あら、大丈夫?」なんて白々しく背中を摩ってくるのが絶妙に腹立たしい。

「彼氏とか、そんなの全然できないって」


どうにか喋れる程度の気力を回復して、恨みがましく否定する。脳裏に渚の面影がちらついて、ぶんぶんと首を振って掻き消した。だって、彼は決定的な言葉などなにも言っていないのだから。


それでもお母さんは黒だと判断したらしく、にんまりと意地悪く笑っている。