久遠の果てで、あの約束を。

「話は……、修平さんから聞いているのかしら」



その台詞にドキッとする。甘酸っぱくない、後ろめたいことを指摘されたときの方。

なにも言えずに、小さくこくりと頷いた。事情が事情なだけに、声に出しては言いづらい。

対してお母さんは、さして驚いた様子もなく、だけど何処か困ったふうに、ちゃぶ台の上を見つめていた。

やがて、全てを諦めたみたいに笑う。


「昔から……、優希にはいらない苦労ばかりかけたわ。私のちっぽけなプライドのせいで必要以上の我慢を強いたし、嫌な思いも沢山させてしまった。終いには罪悪感に耐えきれなくなって家を出るなんて……。本当に、これじゃあ母親失格よ」

「そんなことないっ」


咄嗟に出てきた声色が、自分のものとは思えないくらいに切羽詰まっていて、それはお母さんの目が心なしか潤んでいるように見えたからだとすぐに気づいた。



「母親失格だなんて、そんな悲しいこと言わないで。お母さんがいてくれたおかげで、今の私がいるんだから」