久遠の果てで、あの約束を。

「…………」

「…………」


どうしよう、気まずい。


お互いに声を出さないまま、黙々とおせちを口に運ぶ。食事中の会話はマナー違反だから、なにも話そうとしないだけなのかもしれないけれど。



「ねぇ、優希」


不意にお母さんが箸を止め、私の名前を呼んだ。


「どうしてお母さーー、私に会いに来てくれたの?」


わざわざ言い直したのは、今の自分には母として振る舞う資格がないと思っているからなのだろうか。

どう答えるべきなのかわからず、食事を中断して考える。


「どうしてって……。ほら、お母さん。私に年賀状くれたでしょ? それ見たら、なんか会いたくなっちゃって」


言ったことは概ね本当のことだった。あの年賀状がなかったら、私はここには来なかった。ただ、あれはあくまでもきっかけに過ぎず、遅かれ早かれここに来ることは決めていたというだけで。


「そう……。優希の中で私はまだ、お母さんなのね……」

「なに言ってんの、そんなの当たり前じゃん」


なにかをぐっと堪えるように目を伏せる姿がやけにしおらしくて調子が狂う。だからなるべく笑顔を保って、楽しく話せるよう努力した。


なのにお母さんときたら、楽しく話すどころか目も合わせようとしない。