久遠の果てで、あの約束を。

箸を持ったまま視線がぶつかり、糸で縫いつけられたみたいにその場から動けなくなった。

そして情けのないことに、私が真っ先に抱いた感情は〝恐怖〟だった。

どうして先に食べようとしたのだとか、来るならせめて事前に連絡をよこしなさいだとか、そういったことで怒られる、気がした。

けれど私の予想とは裏腹に、お母さんは一人分のスペースを開けて隣に座り込む。それが、私達親子の心の距離。


「食べないの?」

「あ、うん。食べる」


あまりにも自然に話しかけられたので、つい反射的に返事してしまった。人参を箸でつまんで口の中に放り込む。さっきはあんなに美味しそうに見えたのに、今はなんの味もしない。


「あら萩佳。部屋にいないと思ったら、もう降りとったんね。じゃあ、あたしは買い物に行ってくるから、二人でよう話しといで」

お祖母ちゃんは二人分のお茶を用意した後、再び居間を出て行った。おそらく、気を遣ってくれたのだろう。