「正直、あとどれくらい生きられるのかはわからない。主治医の先生には来年の三月までって言われたけど、それまで持つかどうかすらも怪しい」


だから、本当なら優希と離れるべきなんだと思うーーと、寂しそうに目を伏せる。



「でも、いつかお別れするときが来ても、俺は優希と一緒にいたい」


紡がれる言葉のひとつひとつに胸がいっぱいになって、仕舞い切れずに溢れ出す想いが涙と一緒にこぼれ落ちてしまいそうで、夢を見ているみたいだった。


ちらちらと、風花が舞う。

白く儚いそれはイルミネーションの煌びやかな輝きと比べたら霞んでしまうものだけど、その不安定な冷たさが、これは夢ではなく現実なのだと教えてくれる。


「もう覚悟はできた。だからーー」


聖なる光を背後にして、渚が愛おしげに微笑む。



「残り数ヶ月の間、俺と生きてくれませんか」



大切な人と初めて過ごしたクリスマスは、甘くて嬉しくて幸せで、ほんのちょっぴり切なかった。