久遠の果てで、あの約束を。

改めて、イルミネーションの美しさに感嘆する。

綺麗だねと口にしようとして、やめた。どんな言葉を並べようと、この景色を前にしたら、その全てが安っぽくなってしまうと思ったから。

夢心地になりながら、今までのことを思い出す。


あのとき、渚が私に桜の花びらを降らせてくれなかったらーー。いや、私が渚に教室までの道のりを訊かなかったら、二人でイルミネーションを見ることも、ましてやイルミネーションを綺麗だと思うこともなかった。


沢山の小さな奇跡がここに集められ、今をかたちづくっている。


それを胸に抱き締めると、周囲は凍える程の寒さだというのにも関わらず、心はぽかぽかと暖かかった。


この温もりを手離したくない。

ずっと私だけのものにしたい。


そう願ってしまうのは、私の我儘なのだろうか。


「あのね、渚」

袖を引っ張って呼びかけると、愛おしさの滲む表情でそっと顔を覗き込んでくれる。

その表情を見れるのも、私だけの特権だ。