久遠の果てで、あの約束を。

「あのー、よかったら私が撮りましょうか?」



一連の会話が聞こえたのか、一人の女性が遠慮がちに声をかけてきた。チャーミングな若い女性。ラッキーと言わんばかりに、顔を見合わせて笑い合う。


「じゃあ撮りますよー。はい、チーズ」

カシャりとシャッターの音がして、それが幸せの呼び鈴みたいに聞こえた。幸せを呼ぶ青い鳥ならぬ、幸せを呼ぶ鈴の音。


「ありがとうございます」

「ありがとうございました」


渚にスマホを返した後、女の人は去っていった。林檎とホワイトムスクの残り香が、ふわりと鼻先を掠めていく。


忘れてしまわないうちに、渚に写真を送ってもらう。気づかれないようにこっそりと、待ち受けの画面を変更した。


二人分の手荷物を小さめのロッカーに無理矢理押し込んで、五百円玉とドリンクのボトルを引き換えてから、はやる鼓動を抑えながら重い防音扉を開けた。