久遠の果てで、あの約束を。

今日、なに歌うのかな。と、囁くように渚が言う。


「うーん。多分だけど、最初はやっぱり初恋レジスタンスじゃない?」


「あー、やっぱり? でもあれ結構古くない? MV公開されたのって、確か四年くらい前じゃん」


「馬鹿だなぁ渚は、神曲はね、何年経っても神曲なの」


「待って。それと同じような台詞、どっかで俺言ったよね?」


「えー、気のせいじゃない?」



当たり前に紡がれる他愛ない会話が嬉しくて、一言言葉を交わすだけで胸の中に甘酸っぱい切ない気持ちが降り積もる。

あと何回、こんな風に彼の隣で笑えるのだろう。


一回でも多く、二人で笑い合えますように。

1秒でも長く、この幸せが続きますように。


些細な、だけどかけがえのない幸せをそっと噛み締めながら、ライブハウスが入っている雑居ビルの階段を降りた。