久遠の果てで、あの約束を。

休みの日は、いつもより少しだけ長く病院にいられる。

窓の外では華麗さの中にちょっぴりの妖艶さを兼ね備えたシクラメンが咲いていて、そのおかげか憂鬱な病室も比較的明るく感じられた。

この病室にいる間は、なるべく笑顔を絶やさないよう心がける。病状だとかの笑えない話はできるだけ避けて、楽しい会話で空間を埋めた。


「あ、そうだ。シュティレのクリスマスライブ、この調子なら行けそうだって」

「……そう」


その言葉を聞けて嬉しいはずなのに、どうしてだか笑うことも、いつもみたいに明るく振る舞うこともできなかった。


元々、クリスマスまでには退院できる予定だった。

それなのにわざわざ行けそうだと口にしたのはおそらく、私の知らないところで行けないかもしれないという可能性が出ていたから。


「ーーっ、今日はもう帰るね」


余計なことを口走る前にこの場から消えてしまいたくて、半ば強引に話を切って扉の向こうに逃げようとする。



が、それが叶うことはなかった。