「今日うち親いないからさ、学校終わったらCDショップ寄って、そのまま俺ん家で聴こうよ」

「えっ」


予想外過ぎる言葉に、思わず変な声が出た。

興奮気味の渚は気にしていないようだけど、彼女でもない女子がほいほいと異性のーーそれも相手の両親が不在のときに家に上がり込むのは、なんというか、その、色々とまずいような気がする。


まぁ、他意はないんだろうけどさ。


上目遣いに顔を覗くと、目の前の彼は目を輝かせながら私の返事を待っている。喉まで出かかっていた言葉が、下へ下へと引き返した。

この状況で断れる人がいるのなら、逆に教えて頂きたい。


「……じゃあ、放課後買いに行こうか」

「うん!」


勢いよく首を縦に振る渚に、先程の心配は泡沫の如く消え去った。