久遠の果てで、あの約束を。

もう逃げないって決めたのに、この場から逃げたくて仕方がない。


気まずさを堪えきれずに目線を下げると、膝の上で行き場をなくした両手がもぞもぞと動いていた。動きを封じ込めるように、指先をぎゅっと握り締める。

すると、何故か渚が私の顔を恐る恐るといった風に覗き込んできた。


「あー、えっと、凄く言いづらいんだけど……」

「え? あ、うん」


言いづらいことってなんだろう。まさか絶交の話とか?

頭の中で疑問符を浮かべている私に、渚は心底バツが悪そうに言った。



「実はさ、そんなに怒ってなかったんだ」



目が点になって、体が固まりかけたのが自分でもわかる。


「へ……?」


あまりにも間抜けな声が、唇の隙間から漏れる。

だって、それくらい予想外だったから。


「いや、確かに最初はムカついたしそれなりに傷ついたよ? でも、本気で言ったんじゃないってすぐにわかったし。そもそも俺、そんなに根に持つタイプでもないし。なのになんとなく意地張っちゃって。それで、いつの間にかこんなにズルズル引きずってて。流石にこれはやばいなって、内心焦ってたんだよね。本当ごめん」


あはは、と額に手を当てて笑った後、不安げな瞳をこちらに合わせてきた。