久遠の果てで、あの約束を。

「……行こうぜ」


やがてバツが悪そうに他校生達が去って行って、ようやく当番を交代できた。

「え、あ、えっと……」

不測の事態のせいでシュミレーション通りに口が動かなくて、あぁもう、と自暴自棄とも取れる焦燥感に苛立った。

せめてお礼だけでも言わなくちゃ。さんざん考えた謝罪プランが、ガラガラ音を立てて崩れ落ちる。


「っ……」


どうにか、白衣の裾を掴むことに成功した。それでも言葉は出てこない。真白と血色が陣地を奪い合う布に、指先で作られた皺が寄る。


「……なに?」


久しぶりに向けられた声は心臓が止まりそうになるくらい冷たかったけれど、無視せず立ち止まってくれた。

指先に力を込めると同時に、あの言葉が呼び起こされる。



ーー俺はお前に背中を押された。次は、俺がお前の背中を押す番だ。


ーー間違えたって、まあ何度でもやり直せるよ。



すうっと、心の鉛が消えていく。

早鐘を打つ心臓は相変わらずだけど、用意していた言の葉は、ちゃんと形になってくれた。