*
「わ、なんか俺だけ席遠くない?」
「ほんとだ」
教室の席は名簿順で私と莉子は「佐倉」と「中村」だから割と席は近い。相原くんは廊下側の一番前で、私たちはどっちかというと廊下寄り。だから名字が「山本」で窓側の後ろの方の蒼とは席が離れてしまうのだ。
「でも山本。席替えするよ、多分。あー私匠海の隣になりたいなぁ」
「そっか、席替えがあったか。よし、美波の隣になれますように!」
「え?何で私の隣?」
「だって、女子で仲いいのなんて美波くらいだもん」
・・・そういうこと。もし私が蒼のこと好きだったら完全に勘違いしちゃうわ。ほんと罪作りな男だなぁ。
「美波は?誰と隣がいい?」
蒼がそう聞いてきたので、罪作りな男に与える罰として、少しからかってあげることにした。
「私?じゃあ、蒼と隣になれますように!」
「え?お、俺!?なんで?あ、もしかして・・・いや、違うか。え?なんで?」
ふふ、テンパってる。顔も赤くなってるし。
「え?だって仲いい男子蒼くらいしかいないし?」
「あ、そういうこと・・・」
「他に何か理由でも?」
「いや・・・・」
蒼が困っている顔は初めて見たのでおかしくなってしまう。でも、蒼から仲のいい女子として認識されていることを知れて良かった。いい友だちとしてやっていけそうだ。
「はーい、席替えするぞー」
担任の川崎先生が席替え用のくじを持って入ってきた。教室内は「席、近くなれるといいね」とか「あいつとは隣になりたくない」とか色んな声が飛び交った。ちらっと蒼の方を見ると、手を合わせて真剣に何かを願っているようだった。そんなに何を願ってるのか、後で聞こうと決めて「いい席になるといいな」なんて思いながらくじを引いた。
「一番後ろか・・・」
ほんとは前の方が先生の声聞きやすいし黒板も見やすいんだけど。しかも窓側って。
「美波、どこ?」
「私窓側の一番後ろ」
「えー。私前の方だよ。離れちゃったね。はぁ、匠海とも離れたし。クラス一緒になったときで、運使い果たしちゃったかなぁ」
あ、思い出した。蒼にさっき何願ってたのか聞かなきゃいけないじゃん。
「蒼、さっき何願ってたの?」
「え?何、見られてた?恥ずかし。美波席どこ?」
「窓側の一番後ろだけど」
「ほんと!?俺も!ていうことは隣じゃん。やっぱ願って良かったー!」
「隣なの?願って良かったってどういうこと?」
「俺さっきさ、美波の隣になれますようにって願ったんだよ」
「え、二回も?」
「うん。本気でなりたかったもん」
またいつもの罪作り?そんなこと言われたら女子は勘違いしちゃうって分からないのかなぁ。このクラスにも蒼のこと好きな子いっぱいいるんだろうなー。
「蒼、そういうこと言ったら女子が勘違いしちゃうよ?」
「大丈夫。美波にしかいってない」
「だから、そういうのがダメなの」
「えー?ほんとなのに」
・・・ダメだこれは。言っても何も変わらないな。
「ほら、早く席移動しろー」
川崎先生の声で全員が席を移動し始める。私も一番後ろの席に移動すると、蒼がにこにこしながら手を差し出してきた。
「よろしく、美波」
「う、うん。よろしくね」
そう言って手を出すとがしっと掴まれてかなり痛かった。それを思いっきり顔に出してしまったら、蒼が「もしかして握手、嫌だった?」と見当違いな心配をしていたので思わず笑ってしまった。その後、蒼が先生に呼び出されたので莉子のところに行こうとして立ち上がったら、前から「佐倉さん?」と私を呼ぶ声が聞こえてきた。顔を向けるといかにも女子っていう感じの可愛い子が座っていた。
「あ、私、立川美桜っていいます。よろしくね」
「佐倉美波です。美波でいいよ」
「じゃあ私は美桜で。美波ちゃん、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「聞きたいこと?いいよ」
「あの、山本くんって、美波ちゃんの彼氏?」
「・・・ん?蒼が私の彼氏?ないない!!」
「でも、下の名前で呼び合ってるから・・・。そうなのかなって」
「あ、それはただそうなっただけ。勝手にあっちが美波って呼んでるだけだから」
「そ、そうなんだ。あ、ごめんね、呼び止めちゃって」
「全然。じゃあまた話そうね」
可愛い子だったな、美桜ちゃん。てか面白い質問だったなー。蒼が彼氏って。あんな罪作りな男、彼氏にしたら大変そう。あ、もしかして美桜ちゃん蒼のこと好きなのかな?だから聞いてきたのかも。へぇーそうか。まあ、顔はいいし、女子が喜ぶことさらっと言うからなー。私にしか言ってないとか言ってたけどどうせ嘘だし。やっぱりモテるんだな。いま初めて実感したわ。そんな事を考えながら莉子のところに行くとただならぬ雰囲気が莉子の周りに漂っていた。
「り、莉子?どうしたの?」
「美波・・・。もうダメかも・・・」
「何、何があったの・・・?」
「この席、最悪。ま、周りの人が皆真面目すぎて、窮屈だよー!」
「確かに皆真面目そうな人達だけど」
「私には真面目は似合わないの。あーくじ運悪い・・・」
「そんな事ないって。ほら、授業中分かんないことあったら聞けるじゃん」
「そうだけどさぁー・・・」
「莉子、もう決まったんだから」
「匠海・・・」
「ほら、今日新しくできたカフェ行くんでしょ?元気出して」
「そうだった!そうだね、落ち込んでる場合じゃないや」
凄いな、と思う。私の方が莉子といる時間は長いはずだ。なのに相原くんはすぐに莉子の機嫌を直してしまう。「彼氏って凄いんだな」と思っていると、予鈴が鳴ったので席に戻ると美桜ちゃんが何か言いたそうな顔をしていた。
「どうしたの、美桜ちゃん」
「美波ちゃんって山本くんと仲良いよね」
「まぁ、うん。よく話すけど」
「あのね、私、山本くんのこと好きなんだ・・・」
「あ、やっぱり?」
「もしかして気づいてた?私、さっきあんなこと聞いたから」
「うん、何となくは。でもまさか本当だとは」
「でね、色々手伝って欲しいんだけどいいかな?」
キュンッ。何、可愛すぎる。この気持ちは一体・・・?
「も、もちろん!」
「ありがとー!!」
どうしよ、まず何か聞いてみようかな。今彼女は・・・いないはずだから、タイプでも聞いてみるか。ちょうど蒼が帰ってきた。よし、今聞こう。
「蒼、蒼のタイプってどういう女子?」
「タイプ?美波みたいな子かな」
「今はそういう罪作り発言しなくて良いから。ほら、早く」
「罪作り発言?まぁ、可愛くて、優しい子かなぁ」
「へ、へぇー」
美桜ちゃんは可愛いし、喋り方からして優しいよね、うん。蒼のタイプにピッタリじゃん!良かったね、美桜ちゃん。
新しい恋の予感に気持ちが持って行かれて、新学期初の授業内容はほぼ覚えていない。でもいいんだ。授業より、恋の方が面白いんだから。
「わ、なんか俺だけ席遠くない?」
「ほんとだ」
教室の席は名簿順で私と莉子は「佐倉」と「中村」だから割と席は近い。相原くんは廊下側の一番前で、私たちはどっちかというと廊下寄り。だから名字が「山本」で窓側の後ろの方の蒼とは席が離れてしまうのだ。
「でも山本。席替えするよ、多分。あー私匠海の隣になりたいなぁ」
「そっか、席替えがあったか。よし、美波の隣になれますように!」
「え?何で私の隣?」
「だって、女子で仲いいのなんて美波くらいだもん」
・・・そういうこと。もし私が蒼のこと好きだったら完全に勘違いしちゃうわ。ほんと罪作りな男だなぁ。
「美波は?誰と隣がいい?」
蒼がそう聞いてきたので、罪作りな男に与える罰として、少しからかってあげることにした。
「私?じゃあ、蒼と隣になれますように!」
「え?お、俺!?なんで?あ、もしかして・・・いや、違うか。え?なんで?」
ふふ、テンパってる。顔も赤くなってるし。
「え?だって仲いい男子蒼くらいしかいないし?」
「あ、そういうこと・・・」
「他に何か理由でも?」
「いや・・・・」
蒼が困っている顔は初めて見たのでおかしくなってしまう。でも、蒼から仲のいい女子として認識されていることを知れて良かった。いい友だちとしてやっていけそうだ。
「はーい、席替えするぞー」
担任の川崎先生が席替え用のくじを持って入ってきた。教室内は「席、近くなれるといいね」とか「あいつとは隣になりたくない」とか色んな声が飛び交った。ちらっと蒼の方を見ると、手を合わせて真剣に何かを願っているようだった。そんなに何を願ってるのか、後で聞こうと決めて「いい席になるといいな」なんて思いながらくじを引いた。
「一番後ろか・・・」
ほんとは前の方が先生の声聞きやすいし黒板も見やすいんだけど。しかも窓側って。
「美波、どこ?」
「私窓側の一番後ろ」
「えー。私前の方だよ。離れちゃったね。はぁ、匠海とも離れたし。クラス一緒になったときで、運使い果たしちゃったかなぁ」
あ、思い出した。蒼にさっき何願ってたのか聞かなきゃいけないじゃん。
「蒼、さっき何願ってたの?」
「え?何、見られてた?恥ずかし。美波席どこ?」
「窓側の一番後ろだけど」
「ほんと!?俺も!ていうことは隣じゃん。やっぱ願って良かったー!」
「隣なの?願って良かったってどういうこと?」
「俺さっきさ、美波の隣になれますようにって願ったんだよ」
「え、二回も?」
「うん。本気でなりたかったもん」
またいつもの罪作り?そんなこと言われたら女子は勘違いしちゃうって分からないのかなぁ。このクラスにも蒼のこと好きな子いっぱいいるんだろうなー。
「蒼、そういうこと言ったら女子が勘違いしちゃうよ?」
「大丈夫。美波にしかいってない」
「だから、そういうのがダメなの」
「えー?ほんとなのに」
・・・ダメだこれは。言っても何も変わらないな。
「ほら、早く席移動しろー」
川崎先生の声で全員が席を移動し始める。私も一番後ろの席に移動すると、蒼がにこにこしながら手を差し出してきた。
「よろしく、美波」
「う、うん。よろしくね」
そう言って手を出すとがしっと掴まれてかなり痛かった。それを思いっきり顔に出してしまったら、蒼が「もしかして握手、嫌だった?」と見当違いな心配をしていたので思わず笑ってしまった。その後、蒼が先生に呼び出されたので莉子のところに行こうとして立ち上がったら、前から「佐倉さん?」と私を呼ぶ声が聞こえてきた。顔を向けるといかにも女子っていう感じの可愛い子が座っていた。
「あ、私、立川美桜っていいます。よろしくね」
「佐倉美波です。美波でいいよ」
「じゃあ私は美桜で。美波ちゃん、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「聞きたいこと?いいよ」
「あの、山本くんって、美波ちゃんの彼氏?」
「・・・ん?蒼が私の彼氏?ないない!!」
「でも、下の名前で呼び合ってるから・・・。そうなのかなって」
「あ、それはただそうなっただけ。勝手にあっちが美波って呼んでるだけだから」
「そ、そうなんだ。あ、ごめんね、呼び止めちゃって」
「全然。じゃあまた話そうね」
可愛い子だったな、美桜ちゃん。てか面白い質問だったなー。蒼が彼氏って。あんな罪作りな男、彼氏にしたら大変そう。あ、もしかして美桜ちゃん蒼のこと好きなのかな?だから聞いてきたのかも。へぇーそうか。まあ、顔はいいし、女子が喜ぶことさらっと言うからなー。私にしか言ってないとか言ってたけどどうせ嘘だし。やっぱりモテるんだな。いま初めて実感したわ。そんな事を考えながら莉子のところに行くとただならぬ雰囲気が莉子の周りに漂っていた。
「り、莉子?どうしたの?」
「美波・・・。もうダメかも・・・」
「何、何があったの・・・?」
「この席、最悪。ま、周りの人が皆真面目すぎて、窮屈だよー!」
「確かに皆真面目そうな人達だけど」
「私には真面目は似合わないの。あーくじ運悪い・・・」
「そんな事ないって。ほら、授業中分かんないことあったら聞けるじゃん」
「そうだけどさぁー・・・」
「莉子、もう決まったんだから」
「匠海・・・」
「ほら、今日新しくできたカフェ行くんでしょ?元気出して」
「そうだった!そうだね、落ち込んでる場合じゃないや」
凄いな、と思う。私の方が莉子といる時間は長いはずだ。なのに相原くんはすぐに莉子の機嫌を直してしまう。「彼氏って凄いんだな」と思っていると、予鈴が鳴ったので席に戻ると美桜ちゃんが何か言いたそうな顔をしていた。
「どうしたの、美桜ちゃん」
「美波ちゃんって山本くんと仲良いよね」
「まぁ、うん。よく話すけど」
「あのね、私、山本くんのこと好きなんだ・・・」
「あ、やっぱり?」
「もしかして気づいてた?私、さっきあんなこと聞いたから」
「うん、何となくは。でもまさか本当だとは」
「でね、色々手伝って欲しいんだけどいいかな?」
キュンッ。何、可愛すぎる。この気持ちは一体・・・?
「も、もちろん!」
「ありがとー!!」
どうしよ、まず何か聞いてみようかな。今彼女は・・・いないはずだから、タイプでも聞いてみるか。ちょうど蒼が帰ってきた。よし、今聞こう。
「蒼、蒼のタイプってどういう女子?」
「タイプ?美波みたいな子かな」
「今はそういう罪作り発言しなくて良いから。ほら、早く」
「罪作り発言?まぁ、可愛くて、優しい子かなぁ」
「へ、へぇー」
美桜ちゃんは可愛いし、喋り方からして優しいよね、うん。蒼のタイプにピッタリじゃん!良かったね、美桜ちゃん。
新しい恋の予感に気持ちが持って行かれて、新学期初の授業内容はほぼ覚えていない。でもいいんだ。授業より、恋の方が面白いんだから。
