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「おばさん、こんにちはー。」
「あら、莉子ちゃん久しぶりねぇ。こんなに大きくなっちゃって。で、後ろの方は?」
 「えへへ。私の彼氏です」
 「初めまして。中村さんとお付き合いしてます、相原匠海です」
 「やだ、イケメンじゃない。二人とも、今日はゆっくりしていってね」
 「「ありがとうございます。」」
 「ほら、莉子、相原くん、行くよ」
 「「はーい」」
 私たちは今、私の部屋にいる。莉子を誘ったらなぜか莉子の彼氏―相原匠海までついてきたのだ。二人が言うには、男子の意見も必要だろうということで。私からすれば男子がいると話しづらいんだけど。でも、もう話すしかない。
 私は今日会ったことを二人に全て話した。途中、急に二人がいちゃついたり色々あって、話し終える頃にはかなりの時間が経ってしまった。
 「そんな事があったんだ・・・」
 「相変わらず積極的だなぁ、蒼は。昔と全然変わってない」
 「昔とってもしかして相原くん、蒼と知り合い?」
 「うん、中学生の時から」
 「へぇー。匠海、中学生の山本はどんな人だった?ってそんな事より、何で下の名前なの?」
 「その後に、蒼でいいよって言われて。で、先に「教室行って」って言ったら、あっちも勝手に美波って呼んできたから・・・」
 「やっぱ積極的だね、蒼。そういうとこが女子ウケするんだろうけど」
 「待って待って。山本は、「昨日の返事が聞きたい」って言ったんだよね?」
 「うん」
 「ていうことは、「付き合って」っていう意味で昨日「好きだから」って言われたって事!?」
 「そういうことだろうね。ていうか佐倉さん、そんなこと言われたんだ」
 「あぁーもう!相原くんが知らなくてもいいことを・・・」
 「ごめん、美波。で、返事は?どうすんの?」
 「んー。今まで全く意識してなかったし、嫌いじゃないけど好きでもないんだよね」
 「え?山本に告られて嬉しくない女子っているんだ」
 「ちょっと莉子。莉子は嬉しいの?俺がいるのに?」
 「やだ、私は別に嬉しくないよ。匠海、余計な心配しないで」
 「莉子が紛らわしいこと言うからでしょ。相原くんが不安になるのもしょうがないって」
 「ごめんなさーい。じゃあ、美波、山本のことふるんだ」
 「ふるって・・・まあ、そういうことだよね」 
 「佐倉さん、もしかして遊びに行った後にふるつもり?それ、結構酷くない?」
 「相原くん・・・。それは私も思った。でも遊びに行くのいいよって言っちゃったし。どうしよう・・・」
 「じゃあ、明日、ふっちゃえば?ちょうど明後日から春休みだし。そしたらしばらく会わなくて済むし」
 「それはそうだけど・・・」
 「俺もそう思う。春休みに遊びにいったら脈あるかもって思っちゃうかもしれないし。それで
ふられたらいくら蒼でも傷つくだろ」
 「そ、そう?じゃあ、そうしようかな・・・」
 「そーだ、そーだ!頑張れ美波!!」
 「佐倉さん、頑張って」
 相原くんまで・・・。明日か。何て言おう。シンプルに「ごめんなさい」でいいよね。そしたら諦めてくれるよね・・・?