明日もきみが心から笑えますように

 *
 「じゃーねー」
 皆と別れた後、私は蒼に手を引かれてどこかに向かっている。手をつなぐのは初めてだったから緊張したけど、あんまりにも蒼がさっとつないで歩いてくのでこんなものなのかといつの間にか緊張はどこかへ飛んでいった。
 「蒼、どこまで行くの?」
 「着いたよ」
 着いた・・・?ここ、住宅街のど真ん中だけど・・・。
 「ここ、俺の家」
 「家!?な、何で」
 「ごめん、プレゼント忘れちゃって」
 そういうことか。だから後で渡してって言ったんだ。
 「どうしよう、外は寒いし・・・。中入って」
 「え、いいの?勝手に・・・」
 「大丈夫。心配しないで。ほら、早く」 
 蒼に引っ張られてお邪魔すると女の人のだと思われる声が聞こえてきた。お姉さんたち?
 「ただいまー」
 「あ、蒼お帰りーって、誰!?その子。もしかして彼女!?」
 「え、何、蒼の彼女って!?」
 この人たちが蒼のお姉さんたち・・・。二人とも蒼と違ってパワフルな感じだけど顔は何となく似てるような・・・。
 「そう、俺の彼女」
 「え、マジ?」
 「お名前は?」
 「あ、蒼くんとお付き合いしてます、佐倉美波といいます」
 「美波ちゃん!よろしくね、蒼のこと」
 「こちらこそ・・・」
 「美波、こっちが一番上の杏花音姉ちゃんで、こっちが二番目の杏花里姉ちゃ  ん。ちなみに双子ね」
 「え、そうなの? えっと、杏花音さんに、杏花里さん・・・」
 「覚えづらいよね。うちの親、統一感を出すためとか言って似たような名前にしたからさー」
 でも、凄く良い名前。杏花音さんと杏花里さん、優しそうだし。
 「で、蒼。今日は何で美波ちゃん連れてきたの?」
 「あ、そうだった。美波、上行こ」
 蒼についていくと、「ちょっと待ってて」といわれたので大人しく待ってることにした。
 それにしても凄いお家だなぁ。さすがに相原家ほどではないけど、広くて大きなお家でびっくりした。床もピカピカだし。そんな事を思っているとがちゃ、とドアの開く音がした。
 「はい、美波。メリークリスマス!」
 「あ、私からも」
 「ありがと」
 「私もありがとう。・・・何か大きくない?これ」
 「開けてみて」
 ラッピングを破かないように丁寧に開けると、中から私が大好きなキャラクターの縫いぐるみが出てきた。
 「えっ、何で?」
 「美波、この小さいのいつもリュックに付けてるから好きなのかなぁと思って」
 「あ、ありがとう!大事にするね」
 「喜んでもらえて良かった」
 いつの間にそんなとこ見てたんだろう。蒼の観察力って凄いんだな・・・。
 「ほんとありがと。じゃあ、そろそろ帰るね」
 そう言って蒼に背を向けると視界の両端から腕が伸びてきた。
 「だめ。もうちょっといて」
 「あ、蒼?」
 蒼の息遣いが耳元で聞こえる。ぎゅ、と蒼の力が強くなったと思ったら急に弱くなって肩を掴まれて、気づけば蒼の方を向いていた。
 「美波、好きだよ」
 「え?どうしたの、あお・・・」
 い、と言いかけたところで優しく唇をふさがれた。え、もしかして今私・・・。
 「・・・蒼、いま・・・・」
 「うん、キスした」
 「い、いきなりでびっくりしたよ」
 「あ、ごめん。あんまりにも美波が可愛いから・・・」
 また突拍子のないことをする・・・。杏花音さんたちもいるのに。でも・・・。
 「・・・もう一回したい」
 「え?」
 「今の、も、もう一回したい」
 「・・・俺も。じゃあ、今度は美波からして?」
 「え、私から?」
 「うん、美波から」
 「・・・分かった」
 少し背伸びをして、蒼の唇に軽く触れる。一度離れて、見つめ合う。蒼が体に腕を回してきたのでそれに応えるように、また唇を重ねた。
初めてしたキスは、とてもとても甘かった。