「……松山さん_______。」



「ん……?」



優しい男の人の声。

心地良かった。


「松山さん、松山。おい松山桃華!!」
「あっはい!!」


やっばい!寝てた!!

今授業中なのに〜……っ。


「2年になって初授業だから、しっかりしなさい。」


北山先生に教科書で頭をポンと叩かれる。


「す、すみません…。」


しまった。今まで寝たことなんてなかったのに。


さっきまで起きてたのに、一瞬寝てしまった。


これは故意じゃない!不可抗力ってやつよ!!

ホントにさっきまでは眠くも何ともなかったんだから。



意味もなく心の中で弁解タイムを開いていると

先生の目を盗んで、隣の席の海堂郁哉(かいどういくや)が耳打ちをしてきた。


「寝るなんて珍しいな。」
「さっきまでは意識ハッキリしてたんだけどね〜…。」


あははーと誤魔化す。

私は気を取り直して、授業に励み始めた。