「ねぇ」

ミーアはタッカーを見上げる。

「今日はタッカーのそばにいてもいい?」

「え…っ?」

その言葉に、タッカーの心臓が大きくドクンと脈打った。

「な、何でさ?呪いなんてないって言っただろ?」

「でも…」

伏し目がちに呟くミーア。

「それでもこんな夜には怖いです…誰かがそばにいて、私が安心して眠るのを見守ってくれたら…」

ミーアはたった一人でこの国で暮らしている。

身寄りのない彼女にとって、親しくなったタッカーは、何より頼りになる存在であった。

…とはいえ、彼女にささやかながら恋慕の情を抱くタッカーとしては、心中穏やかではない。

憧れの女性と一晩一つ屋根の下…。

何か間違いがあっては、ミーアに申し訳が立たないのだが…。

それでも。

「お願いです、タッカー」

そう言って指を絡められてしまっては、断りきれるものではない。

何より、ミーアと一夜を共にする言い訳も、タッカーとしては欲しかった。

「ぼ…僕でいいなら、喜んでっ…」

上擦る声で、タッカーは返事した。