「ああ…近隣の国に住んでいたもので…タッカーっていうんだ」

タッカーは軽く自己紹介する。

それに応じるように。

「それは大変だったでしょう?こんな戦ばかりの時代ですものね」

微笑を浮かべて娘は手を差し出した。

「この近くに住んでいる、ミーアという者です。お見知り置きを」

「……」

その笑顔に、見惚れた。

艶やかに笑うこの娘…ミーアに、正直惚れてしまっていたのかもしれない。

「あの…タッカー?」

もう一度、小首を傾げて顔を覗き込むミーアに。

「ああ、こ、こちらこそ!」

上着でゴシゴシと手を拭き、タッカーは握手に応じた。







柔らかなミーアの手は、ほんの少しひんやりとして…いつまでも握っていたい気分だった。