規模こそ大きくはないが、丁寧な仕事と高い技術で、知る人ぞ知るといった名うての鍛冶師。

だが以前住んでいた国そのものが強国の侵攻に遭い、泣く泣くこの女神国に移り住んだのだ。

それは不運と言えば不運だったが、考えようによっては強い国で新しくやり直せるというのは有り難い事かも知れない。

こんな戦乱の世の中だ。

剣や鎧を直す事で収入を得る鍛冶師は、需要の高い商売であった。

「さー!心機一転張り切るとするか!」

往来の真ん中にもかかわらず、タッカーは声を張り上げる。

と。

「ふ…ふふふふふっ…」

軽やかな、可愛らしい声。

それが女性の笑い声だと気づき、タッカーは振り返った。