朝。

「…んー…」

二階のベッドで、タッカーは目を覚ます。

昨夜隣で眠っていたはずのミーアの姿はない。

「……」

もう一度ベッドに突っ伏して、溜息をつく。

何だ…僕の夢だったのか。

そりゃあそうだ。

そんな都合のいい事が有り得る訳がない。

あのミーアが。

あんなに城下町で評判の美人のミーアが、僕に寄り添ってくれる筈がない。

そんな筈が…。

そこまで考えて。

「ん?」

紅茶のいい匂いに顔を上げる。

慌てて一階に下りてみると。

「おはようタッカー。ほらほら、早く顔を洗ってきて。朝食にしましょう?」

キッチンでミーアがサンドイッチを作っている真っ最中だった。