新海は何も答えないまま、立ちあがって大きく伸びをすると……
何を思ったのか、ひとり梯子を下り出した。
引き留めたくても、声にはならない。
最後の一段を後ろ向きのまま、軽々ジャンプする様に梯子から下りると……
ジーンズのポケットに手を突っ込んで、新海がアタシを見上げた。
「陽織」
いきなり名前を呼び捨てにして、ポケットから出した何かを投げようとするから、キャッチの体勢を作った。
新海がアンダースローでゆっくりと投げた物が、アタシの両手にうまく収まる。
捕まえた硬い感触に、合わせた手を開くと……
アタシの掌には、鍵?
「屋上のスペアキー。それで好きな時、開けていいから」
「ホントに!? ありがとう」
「あと、お前のこと、今度から『陽織』って呼ぶ」
「え?」
「その方が、友達みたいじゃん」
嬉しさで胸がいっぱいになって、少しでも気を抜いたら、涙がこぼれてしまいそう……
何を思ったのか、ひとり梯子を下り出した。
引き留めたくても、声にはならない。
最後の一段を後ろ向きのまま、軽々ジャンプする様に梯子から下りると……
ジーンズのポケットに手を突っ込んで、新海がアタシを見上げた。
「陽織」
いきなり名前を呼び捨てにして、ポケットから出した何かを投げようとするから、キャッチの体勢を作った。
新海がアンダースローでゆっくりと投げた物が、アタシの両手にうまく収まる。
捕まえた硬い感触に、合わせた手を開くと……
アタシの掌には、鍵?
「屋上のスペアキー。それで好きな時、開けていいから」
「ホントに!? ありがとう」
「あと、お前のこと、今度から『陽織』って呼ぶ」
「え?」
「その方が、友達みたいじゃん」
嬉しさで胸がいっぱいになって、少しでも気を抜いたら、涙がこぼれてしまいそう……


